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診療技術部門

 

テレビやビデオの長時間視聴と子どもの健康

私たちはテレビ視聴を通して政治や経済のニュースをはじめ天気予報に至るまで、さまざまな情報を得ています。ほとんどの日本人にとってテレビの無い生活は想像できず、テレビは生活に不可欠だと思われています。しかし映像メディアとしてテレビが持っている圧倒的な影響力について、私たちは普段あまり意識することはありません。

現代の情報メディアにはケータイやインターネットもありますが、テレビは地上デジタル放送となり今後もマスメディアとしての地位は保ち続けるはずです。そのような状況にあって、いまテレビの長時間視聴が子どもの発育発達に負の影響があることが次々と報告され始めました。

子どもはどれくらいの時間を電子メディアと接触しているのか

子ども達がテレビ・ビデオなどを一日どの程度視聴しているかについて、1980年にNHKによる小学5、6年生(現在30代後半の成人です)の生活調査がありました。それによると平日のテレビ視聴は平均2時間32分でした。当時、すでにある程度テレビ浸けになっている傾向があると思いますが、2004年に文部科学省の助成を受けてNPO法人子どもとメディアが実施した調査結果によると、平日のメディア接触時間は小学4~6年生で4時間以上49.3%、6時間以上26%です。(ここでいうメディアとは、この年齢層ではテレビ・ビデオ・テレビゲーム・携帯用ゲームを指します)小学校高学年の睡眠時間は平均8時間40分ですので、4人に1人が一日の活動時間の1/3を電子メディアと接触して過ごしていることになります。

以上は小学生の調査結果ですが、乳幼児についても同様な調査がされています。それによると1歳未満の乳児の90%以上がテレビ・ビデオのついている部屋で過ごしていて、1歳から3歳の子どものいる家庭でテレビ・ビデオが3時間以上ついている家が7割、その中でも6時間以上が7.6%ありました。またいわゆる早期教育ビデオ・育児ビデオを意識的に子どもに視聴させている割合が6ヶ月から1歳で35%、1歳を過ぎると64%となっており、電子メディアとの早期接触・長時間接触の実態が明らかにされています。

電子メディアとの長時間接触は子どもの発達にどんな影響があるのか

サイレントベビーという言葉があります。表情に乏しく、泣くことも笑うことも少ない赤ちゃんのことです。言葉(話しかけ)やスキンシップによる適切な関わりがもてなかったため、愛着形成障害をきたしたと考えられています。

最近言葉の遅れや表情が乏しく目線を合せられないなどの訴えで小児科を受診する小児の中に、テレビ・ビデオの長時間視聴を止め、お母さんが目線をしっかり合せてお話したり遊んだりすることでそれらの症状が劇的に改善する例がいくつも報告されています。テレビやビデオなどの一方向性の音や映像では、その内容が子ども向きで良くできたものであっても人としてのコミュニケーション能力は育たないのです。

また、学童期にあまり外遊びをしないで携帯用ゲームやビデオゲームで長時間過ごすことは、体力や運動能力の低下・視力の低下を招きます。さらに頑固な頭痛、疲れが取れない、いつも身体がだるいなどの自律神経失調症を訴えるようにもなります。このように電子メディアと長時間接触することの危険性については明らかにされてきている一方、その安全性や有効性についての証明はこれまでありません。

「子どもとメディア」の問題に対する提言

日本小児医会「子どもとメディア」対策委員会からの提言

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会からの提言

上記と同じ内容に追加して

以上が小児科からの具体的な提言ですが、これに関連して今いくつかの地域で取り組まれている運動に、ノーテレビ・ノービデオデー運動があります。これは1週間のうち1日でいいからテレビをつけないで過ごそうという取組みです。その成果として親子の会話が増えた、子どもがテレビ・ビデオ以外の楽しみを見つけたなどの報告がされています。メディアに親と子の大切な時間を奪われないよう、一度ノーテレビ・ノービデオデーにチャレンジされてみてはどうでしょうか。

 

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